中古車選びはワクワクする反面、思わぬ落とし穴が潜んでいます。特に「事故車だったのに知らなかった!」というトラブルは後を絶ちません。認証修理工場を営む私たちだからこそ分かる、中古車購入における事故車トラブルの真実と解決策を、詳しくご紹介します。
中古車購入の手引き★購入したら事故車?騙された?事故車の見極め方
その車、本当に事故車?
世間一般では、交通事故などで損傷を受けた車をすべて「事故車」と呼びますが、自動車業界では「修復歴車」として区別されています。つまり、業界では軽い修理が行われただけの車は「事故車」とは呼びません。
× 事故車ではない車
- バンパーをこすった
- ドアやボディを少し凹ませた
- ドアミラーを交換した
このように、事故でも表面だけの少しの鈑金塗装、または交換であれば「事故車」とは言いません。事故を起こしたすべての中古車を「事故車」扱いしていたら大変なことになります。
そもそも、中古車で無傷の車なんてほぼありません。店頭に並べる時や、お客様に販売する時は「へこみや傷」を綺麗に化粧直しして送り出すものです。ですから、鈑金塗装しているからといって一概に「事故車」とは言えないのです。
特に最近は、車の買替、下取り時の査定で「事故車」と言われてびっくりするケースが増えています。これはよくあるケースで、買取業者が安く買い叩きたいので大げさに言う場合が多いようです。
この場合、「どの程度の修復歴ですか?」と、確認する必要があります。では、どの程度の修復歴を「事故車」というのでしょうか?
事故車の定義
一般財団法人 日本自動車査定協会(JAAI)によると、日査協、公取協などの統一基準として事故車(修復歴車)と定義されているのは以下の通りです。
自動車の骨格とは以下の8つの部分です。
「事故車」扱いになる自動車の「骨格」
- フレーム(サイドメンバー)
- クロスメンバー
- インサイドパネル
- ピラー
- ダッシュパネル
- ルーフパネル
- フロア
- トランクフロア
図は一般財団法人 日本自動車査定協会JAAIのHP参照。詳しく見たい場合はHPをご覧ください。
日本自動車査定協会とは、中古自動車査定基準の設定、査定士の技能検定試験、登録査定士の技能向上研修を行っているところです。こうやって見ると、骨格部位に損傷がある大きな修復歴の車が「事故車」と査定されることが分かりますね。
中古車市場の現状と事故車の実態
中古車市場には、修復歴を隠して販売する悪質な業者が存在します。購入者は専門知識がないため、一見綺麗な車でも、実は事故歴があったり、修復が不十分だったりするケースが少なくありません。
なぜ事故車に騙されやすいのか?
中古車市場では、事故歴を隠したまま販売される車が多く存在します。修復歴がある車は、見た目が良くても内部に問題を抱えていることがあり、これを見抜くのは専門知識がないと難しいです。
事故車トラブルの具体例
修復歴を隠されていた
車検証や査定書に記載されている修復歴を見落とさないように注意が必要です。
修復が不十分だった
事故のダメージが完全に修復されていないと、走行中に不具合が生じたり、安全性が損なわれたりする可能性があります。
水没車だった
水没車は、電気系統の故障や錆による腐食など、様々な問題を抱えている可能性があります。
事故車の見極め方
事故車を見極めるためには、以下のポイントに注意しましょう。
1.目視で探して見分ける
素人には難しいかもしれませんが、目視でチェックすることは事故車で「騙されない」ための重要な方法の1つです。現車をゆっくり下見し、ドアやボンネットを開けて、ゆがみや塗装の状態を確認しましょう。
車両の外観をチェックする
内装の状態を確認する
エンジンルームのチェック
試乗してみる
2.車両の履歴を確認する
車検証や整備記録簿を確認し、修復歴や事故歴が記載されていないかなど、車両の履歴を確認することが重要です。特に「整備記録簿」の確認は非常に大切です。
整備記録簿には、12カ月点検や24カ月点検時の修理作業や交換部品の詳細が記録されています。通常、車検時にしか記録を残しませんが、念のため鈑金修理が記載されていないかも確認してみましょう。
目視による確認も重要ですが、自分の目視に自信がない方は、点検記録簿がない車の購入は避けるべきです。点検記録簿は1年保管の義務がありますが、これがない車は信頼性が低く、市場価格も安くなる傾向があります。
当社では、点検記録簿がない中古車の仕入れを極力避けています。点検記録簿がない車は、運輸省指定工場や運輸省認証工場できちんと車検整備をしていない可能性が高く、不正を隠すために意図的に捨てられたとも考えられるからです。
中古車購入時には、点検記録簿や「新車保証書(年式の新しい車のみ)」がついた信頼ある車を選ぶことが大切です。
3.査定書や認定書を見せてもらう
購入したい車の「査定書」の開示をお願いしてみましょう。オークションで仕入れた車ならば、必ず出品表に査定の記入があります。
また、各オークションや団体が独自に発行する「認定書」や「鑑定書」を持つ車もあります。車体番号が記載されているので、自分の車の車体番号(車検証に記載)と同じか確認するのを忘れずに。
ただし、名ばかりの「認定書」や偽造されたと疑わざるを得ない「鑑定書」もあるため、それらがあるからといって現車を確認せずに購入するのは避けましょう。
事故車トラブルを防ぐための対策
1. 信頼できる販売店で購入する
信頼できる販売店を選ぶことが重要です。認証工場や古物商許可証を持つ実績のある販売店を選びましょう。これらの店舗は一定の基準を満たし、信頼性の高い中古車を取り扱っています。
2. 注文販売を利用する
より品質の高い車を購入したい場合は、「注文販売」を利用することを検討しましょう。現車オークションでの注文販売では、資格を持つ検査員が厳密に車両を検査・査定し、出品表に詳細な情報(査定結果、評価、キズや不具合など)が記載されます。
購入希望者は出品表を確認し、気に入った車を選んで購入指示を出すことができます。これにより、安心して高品質な車を購入することができます。
3. 専門家に相談する
不安がある場合は、自動車整備士や中古車鑑定士などの専門家に相談することをおすすめします。彼らは経験豊富で、事故車や修復歴のある車両を見極めるのに役立ちます。購入前に専門家の意見を聞くことで、トラブルを避けられる可能性が高まります。
事故車トラブルに巻き込まれてしまったら
すでに事故車を購入してしまった場合、慌てずに以下の対処法を検討しましょう。
すでに購入した中古車が「事故車」か調べよう
購入してしまった中古車が事故車か調べるには、3つの方法があります。
1.日本自動車査定協会(JAAI)のウェブサイトで確認する
日本自動車査定協会HPでは、事故車の見極め方や写真が掲載されています。素人の目利きではなかなか難しいと思いますが、時間がある方は自分の車に当てはまるか確認しても良いでしょう。
2.JAAIに査定依頼をする
上は当社がメーター改ざんを疑った中古車の「判定依頼」の結果です。FAXで送られてきました。
費用はかかりますが、日本自動車査定協会JAAでは、消費者利益を守る為に車の事故査定、走行距離、冠水車、盗難車などの判定も行っています。
不安な方は、ぜひ依頼してみてください。日本自動車査定協会HP
3.無料査定を利用する
一番簡単で料金がかからないのが車買取業者への依頼です。
大手の買取業者なら、信頼ある査定を無料で受けられます。不安であれば、一社だけでなく複数の業者に依頼するとよいですね。
複数の会社があなたの車の事を「ひどい事故車です」と言うなら、完璧に「事故車」の可能性が高くなります。逆に「軽微な履修歴」であれば全く事故車扱いされないので大丈夫でしょう。
少し手間はかかりますが、あくまでも無料なので「無事故」と証明する為にはベストな方法です。良い値段が付いたら実際に売って買い換えてしまっても良いですね。
事故車トラブルに巻き込まれた場合の相談窓口
残念ながら自分の購入した車が「事故車」と解ったら、JU中古車販売協会連合会に相談してみましょう。各県協会には「中古車相談室」が設置しております。「事故車」だけでなく、「中古車」に関する質問など気軽に相談できますので利用すると良いでしょう。
JU中古車販売協会連合会トラブル相談事例
JU中古車販売協会連合会トラブル相談室電話番号
まとめ
中古車選びは人生の中でも大きな買い物の一つです。後悔のない選択をするために、十分な知識と情報収集を心がけましょう。認証修理工場として、お客様が安心して中古車を購入できるよう、今後も情報発信に努めてまいります。
中古車選びでお困りの方は、ぜひ当店にご相談ください。当社は、国土交通省関東運輸局認証整備工場・山梨県自動車整備振興会AMS会員・JU山梨中古車販売加盟店・USSオートオークション・BCNオートオークション・ASNetオートオークション会員です。皆様のカーライフが安心で楽しいものになるよう、全力でサポートいたします。