「車検は7万円くらいです」
そう聞いていたのに、最終的な請求額が9万円、10万円になって驚いた経験はありませんか?
車検では、お見積もりの段階では分からなかった整備が必要になることがあります。
そこで今回は、車検でよくある追加費用について解説します。
これから車検を受ける方は、ぜひ参考にしてください。
車検で追加費用が発生する理由
車検ではタイヤを外したり、ブレーキを分解したりして点検を行うため、普段は見えない部分の不具合や劣化が見つかることがあります。
そのため、どうしても追加整備費用が発生してしまう場合があります。
実際には、私たち経験豊富な整備士でも分解してみなければ分からない部分があり、車検時の点検で初めて発見されることも少なくありません。
私たちは認証整備工場で日々車検を行っていますが、追加整備になる部品にはある程度の共通点があります。
そこで次から、認証整備工場で実際によく見つかる追加整備をランキング形式でご紹介します。
認証整備工場で実際によくある追加整備ランキング
第1位 ブレーキパッド交換

当店で最も多い追加整備のひとつがブレーキパッド交換です。
ブレーキパッドは、ブレーキをかけるたびに少しずつ摩耗する消耗部品です。
車検の点検で残量不足が見つかり、交換をご提案するケースも少なくありません。
実際にお客様からは、
「ブレーキは普通に効いていたので、交換が必要だとは思いませんでした」
と言われることがあります。
しかし、そのまま乗り続けるとブレーキの効きが悪くなるだけでなく、ブレーキローターを傷めてしまう場合もあります。
そのため当店では、お車の状態や使用状況を確認したうえで交換の必要性をご説明しています。
【費用目安】
・軽自動車:8,000〜15,000円
・普通車:10,000〜20,000円
ブレーキローターも一緒に交換した方がいいの?
お客様からよくいただくご質問です。
結論から言うと、国産車を通常使用している場合は、ブレーキパッド交換のたびにローター交換が必要になることはほとんどありません。
ブレーキパッドはローターより柔らかいため先に摩耗し、多くの場合はパッド交換のみで済みます。
ただし、
- パッドが限界まで減った状態で使用していた
- ローターに深い溝ができている
- ローターの厚みが使用限度を下回っている
このような場合はローター交換が必要になることがあります。
また、状態によっては交換ではなく研磨で対応できるケースもあります。
車検時にはローターの状態も点検し、必要な場合は理由をご説明したうえでご提案しています。
第2位 ブレーキフルード交換

「ブレーキフルードって何ですか?」
「毎回、交換しなきゃダメですか」
車検のご説明をしていると、実際によくいただくご質問です。
ブレーキフルード(ブレーキオイル)は、ブレーキペダルを踏んだ力をタイヤ側のブレーキへ伝えるための大切なオイルです。
普段は目にすることがないため交換の必要性が分かりにくいのですが、ブレーキフルードは時間の経過とともに空気中の水分を吸収し、少しずつ性能が低下していきます。
そのまま使用を続けてもすぐに不具合が出るわけではありません。しかし、長期間交換していない状態が続くと、ブレーキの効きが悪くなる原因やブレーキ系統の故障につながるリスクが高くなります。
メーカーでは2年ごとの交換を推奨している車種も多く、当店でも前回交換から2年以上経過しているお車では交換をご提案することがよくあります。
実際に車検で点検すると、ブレーキフルードが黒ずんでいたり、リザーバータンク内に汚れが見られたりすることもあります。
ブレーキは万が一が許されない重要な部分ですので、当店ではお車の状態を確認したうえでご案内しています。
【費用目安】
5,000〜10,000円
第3位 ロアアームブーツ交換

車検の点検でかなりの頻度で見つかるのが、ロアアームブーツの劣化です。
「ロアアームブーツって何ですか?」
と聞かれることも多いのですが、足回りの関節部分を保護し、内部のグリースが漏れないようにするゴム製のカバーです。
普段は目にすることのない部品ですが、年数の経過とともにひび割れや劣化が進みます。
ひび割れは自然に直ることはなく、そのまま使用を続ければいずれ破れてしまいます。そのため、整備士の立場で言えば車検のタイミングで交換しておくことをおすすめします。
ただし、わずかなひび程度であれば車検に合格できる場合もあります。ブーツが破れておらず、中のグリースが漏れていなければ車検に通るためです。
しかし、車検に通ることと安心して乗り続けられることは別の話です。
ブーツが破れると内部のグリースが漏れ、水や砂などが入り込んで足回りの部品を傷め、最悪の場合はボールジョイントにガタが発生し、重大なトラブルにつながる可能性もあります。
そのため当店では、車検に通るかどうかだけでなく、その後も安心してお乗りいただけるかを考えてご提案しています。
【費用目安】
・8,000〜20,000円
第4位 タイロッドエンドブーツ交換

ロアアームブーツと並んで、車検の点検でかなりの頻度で見つかるのがタイロッドエンドブーツの劣化です。
タイロッドエンドブーツは、ハンドル操作をタイヤに伝える重要な部品を保護しているゴム製のカバーです。
普段は見えない部分ですが、年数の経過とともにひび割れや劣化が進みます。
当店では、ひび割れが確認できた段階で交換をおすすめしています。
ひび割れは自然に直ることはなく、そのまま使用を続ければいずれ破れてしまうためです。
ブーツが破れると内部のグリースが漏れ、水や砂などが入り込みます。その結果、内部の部品が摩耗し、ハンドル操作に影響が出ることがあります。
実際に当店へ持ち込まれるお車の中には、
「ハンドルがガタガタする」
「以前よりハンドルの切れが悪くなった」
という症状でご相談いただくケースがあります。
点検してみると、タイロッドエンドブーツが破れたまま長期間使用されていたということも少なくありません。
さらに劣化が進むと、最悪の場合はボールジョイント部分にガタが発生し、重大なトラブルにつながる可能性もあります。
なお、車検の合否だけで見れば、わずかなひび割れの段階では合格できる場合もあります。
しかし、車検に通ることと安心して乗り続けられることは別の話です。
そのため当店では、車検に通るかどうかだけでなく、その後も安心してお乗りいただけるかを考えてご提案しています。
【費用目安】
・8,000〜20,000円
第5位 ワイパーゴム交換

ワイパーゴム交換は、車検時によく追加になる整備のひとつです。
費用はそれほど高くありませんが、交換後にお客様が効果を実感しやすい部品でもあります。
実際に交換されたお客様からは、
「雨の日によく見えるようになった」
「こんなに見やすくなるんだね」
と驚かれることもあります。
特に雨の日の夕方や夜は本当に視界が悪くなります。
そんな時にワイパーゴムが劣化していると、拭きムラやスジが残り、さらに見えにくくなってしまいます。
整備士の立場から言えば、ワイパーは単なる消耗品ではなく安全装置のひとつです。
ブレーキのように大きな整備ではありませんが、ワイパーひとつで危険を回避できる場面もあります。
【費用目安】
・1,000〜3,000円
※ワイパーゴムは状態によって交換を見送れる場合もあります。詳しくは「車検で交換しなくてもいい部品とは?」でご紹介しています。
第6位 バッテリー交換

検の点検で劣化が見つかることが多いのがバッテリーです。
バッテリーは車検に直接関係する部品ではありませんが、状態によっては交換をおすすめしています。
特にアイドリングストップ車は、信号待ちのたびにエンジンを停止・始動するためバッテリーへの負担が大きく、通常のバッテリーより寿命が短くなります。
バッテリーのやっかいなところは、少しずつ調子が悪くなるというより、ある日突然エンジンがかからなくなることです。
実際に、
「昨日までは普通に乗れていたのに、朝エンジンがかからなかった」
というケースも珍しくありません。
当店では専用のバッテリーテスターを使用し、バッテリーの状態を数値で確認しています。
使用年数が3年以上、走行距離が3万km以上で、測定値の低下が見られる場合は交換をおすすめすることが多いです。
出先や買い物先など遠方でエンジンがかからなくなり、お客様からご連絡をいただいてレッカー車の手配をしたこともありました。
そうしたトラブルを防ぐためにも、車検時に交換をすすめられた場合は早めの交換をおすすめします。
【費用目安】
・軽自動車:5,000〜15,000円
・普通車:10,000〜25,000円
・アイドリングストップ車:30,000〜45,000円
第7位 ヘッドライト光量不足対策

近年、車検で増えているのがヘッドライトの光量不足です。
お客様からは、
「ライトは普通に点いているのに、なぜ車検に通らないの?」
と聞かれることもあります。
車検ではライトが点灯するかだけでなく、法律で定められた明るさや照射方向(光軸)も検査されます。
ヘッドライトは片側6,400カンデラ以上の明るさが必要なため、球が切れていなくても光量不足では車検に通らないのです。
また、2024年8月からヘッドライト検査が厳しくなったこともあり、以前より光量不足で車検に通らない車が増えています。
当店で特に多い原因が、ヘッドライトレンズの黄ばみや曇りです。
実際に車検で光量を測定すると、
「ライトは普通に点いているのに基準値に届かない」
というケースも珍しくありません。
軽度の曇りであれば、特殊な薬剤を使った磨きやリペアで改善できますが、黄ばみや曇りなどの劣化が進んでいる場合はヘッドライト本体の交換が必要になります。
新品のヘッドライトは高額なため、当店では車庫保管車などの状態が良い中古品を使って費用を抑えることもあります。
当店では、黄ばんでから対策するよりも、新車に近い状態のうちに予防クリア塗装(コーティング)をおすすめしています。
【費用目安】
・予防コーティング:20,000円~
・ヘッドライト磨き:5,000〜15,000円
・ヘッドライト交換:20,000〜100,000円以上(車種による)
実際にあった追加整備事例
ここまで車検でよくある追加整備をご紹介してきましたが、実際にはどのようなケースで追加費用が発生するのでしょうか。
当店で実際にあった事例をご紹介します。
事例① 平成29年式 N-BOX ブレーキパッド交換
車検のお見積もり時には大きな不具合はありませんでしたが、点検の結果、フロントブレーキパッドの残量が少ないことが分かりました。
お客様からは、
「ブレーキは普通に効いていたので気付きませんでした」
とのお話がありましたが、安全のため交換を行いました。
追加費用:約15,000円
事例② 平成25年式 タント ロアアームブーツ交換
足回りの点検でロアアームブーツのひび割れが見つかりました。
その時点では車検に通る状態でしたが、劣化が進んでいたため交換を実施しました。
追加費用:約12,000円
事例③ 平成30年式 ヴォクシー バッテリー交換
アイドリングストップ車のバッテリーを測定したところ性能低下が確認されました。
使用年数も長くなっていたため、お客様とご相談のうえ交換となりました。
追加費用:約25,000円
事例④ 平成24年式 プリウス ヘッドライト光量不足
ヘッドライトは点灯していましたが、光量測定で基準値に届きませんでした。
レンズの劣化が進んでおり、磨きでは改善できなかったため中古ヘッドライトへ交換して車検に合格しました。
追加費用:約30,000円
車検の追加費用で損しないためのポイント

事前見積もりを受ける
車検費用を少しでも正確に把握したい場合は、電話やインターネットだけでなく実車を確認した見積もりがおすすめです。
実際にお車を点検することで、ブレーキや足回り、バッテリーなどの状態が分かるため、追加費用の発生もある程度予測しやすくなります。
「車検に通らない整備」なのか確認する
追加整備には、
・車検に通らないため必要な整備
・安全のためおすすめする整備
・今後の故障を防ぐための予防整備
があります。
すべてを今すぐ交換しなければならないとは限りません。
追加整備をすすめられた場合は、「車検に必要な整備なのか」「予防整備なのか」を確認してみると良いでしょう。
整備内容をしっかり説明してくれる工場を選ぶ
車検は決して安い買い物ではありません。
だからこそ、なぜ交換が必要なのかをきちんと説明してくれる工場を選ぶことが大切です。
当店でも、お客様にできるだけ分かりやすくご説明し、ご納得いただいてから作業を行うよう心掛けています。
安さだけで車検を選ばない
格安車検の中には、基本料金を安く見せて追加整備で利益を確保するケースもあります。
もちろんすべての格安車検がそうではありませんが、「なぜ安いのか」を確認することも大切です。
車検は価格だけでなく、点検内容や整備内容も含めて比較することをおすすめします。
車検の追加費用が心配な方へ
ここまでご紹介したように、車検費用が高くなる原因の多くは追加整備です。
特に年式が古い車や走行距離が多い車は、ブレーキや足回り、ヘッドライトなどで追加費用が発生することがあります。
「まずは概算費用だけ知りたい」
「複数の車検工場を比較したい」
という方は、車検比較サイトを利用してみるのも一つの方法です。
キャンペーンでギフト券やポイントがもらえるサービスもありますので、車検を検討中の方はチェックしてみてください。
まとめ
車検で追加費用が発生する原因の多くは、点検によって発見される消耗部品や保安基準に関わる不具合です。
特に認証整備工場でよく見つかるのは、
- ブレーキパッド
- ブレーキフルード
- ロアアームブーツ
- タイロッドエンドブーツ
- ヘッドライト光量不足
などです。
見積もりより高くなると不安になりますが、なぜ交換が必要なのかをきちんと説明してくれる整備工場であれば安心です。
当店では追加整備が必要な場合も、必ず事前にお見積もりをご説明し、お客様のご了承をいただいてから作業を行っています。
車検費用について不安がある方は、お気軽にご相談ください。
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